2016年4月2日 ディスクユニオン新宿プログレッシヴ・ロック館

2016年3月25日。四タイトルの新月名義のアルバムがベルアンティークレーベルからリリースされました。

今回このアルバム発売を記念して、ディスクユニオン新宿プログレッシヴ館での購入特典「花本彰・北山真サイン会」が開催される事になりました。
さらに直前になり、ディスクユニオンから、なんと生演奏も一曲行われるという夢のようなアナウンスがされました。

オリジナルメンバー五人全員の参加だったらさらに嬉しいのに、などというとんでもない贅沢なばちあたりな気持ちを抱きつつ、期待はいやがうえにも高まります!

サイン会のポスター

リハーサル開始時刻より少し時間をずらしてディスクユニオン新宿プログレッシヴ館に到着すると、店内には「遠き星より」の曲が流れていました。こうして公の場で新月の曲が流れているのを聴くのは本当に嬉しいです。

ディスクユニオンのスタッフさんたちは、花本さんデザインの豆絞りの新月手ぬぐいを小粋に額に巻いたり首にかけたり、スピーカーの位置や新月アルバムの陳列など、準備に余念がありません。

店内に流れる「遠き星より」の曲に被るようにリハーサル曲が演奏されていました。
演奏曲は、『島へ帰ろう』か『殺意への船出PART1』のどちらかかと予想していましたが・・・練習されている曲は『島へ帰ろう』でした!

店内には普通の買い物のお客さんたち以外に、サイン会の整理券を受け取ったり、新月アルバムを買い求める新月ファンの方たちが入れ替わりに来店していました。 入口手前には生演奏&サイン会の告知が貼ってあります。

このお二人が揃って新月関連曲を演奏するのは、 2011年10月のライブにゲスト出演された時以来です。

このライブは、新宿クロウダディクラブで行われた、新月前身バンドであるセレナーデのギタリスト高津昌之さんのバンドのワンマンライブでした。
ちなみに、この時の演奏曲は「新●月●全●史」DISC5「OTHER MATERIALS 1977-1999」収録の『海に溶け込んで』です。

またカバー曲では、2015年9月19日に開催された京極輝男さん(Phonogenix、新月プロジェクトドラマー)の"京極米祭"にゲスト出演され、北山さんボーカル花本さんキーボード、安谷屋さん(新月プロジェクト)がギター、大山曜さんが(アストゥーリアス)ベースという編成で、『青い影』、『スターマン』を演奏しています。

『青い影』は新月前身バンドSerenadeがビアガーデンでアルバイトをしていた時の定番曲でした。
「弦が切れたら『青い影』、曲が止まったら『ザ・ウェイト』、いざとなったら『スージーQ』!」
『スターマン』は1979年12月23日吉祥寺シルバーエレファントで開催されたクリスマスコンサートで北山さんが少しだけ歌われました。

『島へ帰ろう』は、個人的に新月復活のシンボルとも言える曲です。
2004年12月に北山真ソロアルバム第一弾「動物界之智嚢」と北山さん花本さんが参加した文学バンドのアルバム「文学ノススメ」のSNOWレーベル再発記念パーティが開催されました。

このパーティは過去北山さんが立ち上げたレーベル「SNOW」からテープで発売された上記の作品をPOSEIDONレーベからCD再発された事を記念しての、ファンの集いを兼ねたパーティでした。
この時、花本さん北山さん津田さんの三人でしたが、新月オリジナルメンバーにより、第二期新月が活動停止後四半世紀ぶりに、新月ファンの前で演奏された曲が『島へ帰ろう』でした。

※以降写真をクリックすると大きな写真を見る事が出来ます。戻るときはブラウザのボタンを使って下さい。

花北の写真


奥の棚の後ろで聴いていたところ『島へ帰ろう』の演奏が終わったのでお二人に近づくと・・・。

花北の写真

演奏曲は一曲のみ、という事でしたが、今度は耳慣れない初めて聴く曲が演奏され始めました。

北山さんは歌詩カードを持っています。

花北の写真

北山さんは、歌詩カードを見ながら歌っています。演奏が終わった北山さんから「新曲です。『調べ』と言います」と教えて頂きました。不思議な調べな曲です。
明らかに新月曲ではないので、これは北花キタモト花北の新曲、そしてそして今日は二曲演奏されるんだと知りました!

NORDの写真


花本さんのキーボードは、ライブでお馴染みの赤いNORDです。

『調べ』の楽譜が貼ってあります。

花北の写真

ここでお二人はディスクユニオンのスタッフの衣裳にお召し替え。
スタッフさんたちと談笑しながらエプロンをつけ一日(二時間)店長へのいでたちになりました。

花本さんのネームプレート写真

写真を失敗してすみません。花本さんのネームプレートには「新●月 キーボーディスト  趣味:整理整頓」と書かれています。
北山さんのネームプレートは昨年8月の北山真サイン会と同じです。

花北の写真

サイン会開始まであと30分となりました。すでに外にはサイン会参加のお客さんたちの行列が出来ている事が伝えられました。スタッフさんたちはまだスピーカーの位置や音響について準備と、一般のお客様の対応に追われていました。

NORDの写真

ライブではお馴染みのNORDをここまで間近で見たのは初めてです。
開始前まで花本さんは練習に余念がありません。

新月のアルバムを買い求めるみなさん、すでに購入済みのみなさんが続々と整理券をもらっては店の外に出て行きました。
サイン会は16時開始でしたが、すでに店外長蛇の列との事でスタッフさんの誘導で時間前に店内に行列が出来ました。

花本さんは手ぬぐいの巻き方にもこだわりあり?首にきりりと巻き付けていました。

いよいよサイン会開始です!
皆さんそれぞれサインをしてもらうアイテムの中で一番多かったのはファーストアルバム「新月」でした。
LPをお持ちになったリアルタイムファンの方もいらっしゃいました。

もちろん「遠き星より」、「The Best of Album Outtakes 1976 -1981」、「新●月●全●史」、「新●月:Shingetsu Live 25.26 july 1979. ABC Kaikan Hall Tokyo」、2007年限定再発「新月」付属の芝ABCホールの写真集、2006年復活コンサートのちらし、「冷凍睡眠/Cold Sleep」とみなさん様々な思いのある新月のアイテムを持ち寄り、サインをして頂いていました。

皆さん、それぞれの思いをお二人に伝えたり握手したりと、店内は和気あいあいと明るい空気に包まれていました。

男性女性年齢層もさまざまで、学生さんたちもいらっしゃいました。
「新●月●全●史」が出た時は小学生でした、という若いファンの方には、お二人も感慨深げで、どうして新月を知ったのですか?などと質問されていました。

「新●月●全●史」

今、店頭ではなかなか見る事が出来ない貴重な「新●月●全●史」ですね。

限定盤「新月/新●月」の写真

「お、芝ABCホールの写真集が見える。
2007年に300部限定で発売されたスペシャル版「新月/新●月」のおまけのブツだ。(「写真で綴る新月史」のぱくり)

2007年限定発売「新月」リマスター版に付属していた芝ABCホールでの写真集。
37年前のご自分の写真の部分にサインするお二人。

新月てぬぐいの写真

新月手ぬぐいへサインを頂く方もいらっしゃいました。良いですね。これは思いつきませんでした。

色紙をお持ちの方もたくさんいらっしゃいました。
どうぶつマンガ家でもある花本さんが
「わたしは動物のマンガを描くのが得意なのですが、なにか描きましょうか?」
とにこやかにファンの方に問いかけ、色紙に新月ファンお馴染みのぶたさん(お馴染みでない方もたくさんいると思いますが)や新●月のイラストを描いて頂いた方たちもいらっしゃいました。

一通りサイン会の行列も一旦途絶え、これで生演奏までしばらく時間があると、花本さん、北山さんも思われていたようですが、店内にはサイン会参加のほぼ全員の皆さんがそのままとどまり、17時頃から開始されると思われていた演奏を急きょ、早めに行う事になりました。

わたしはカウンターより一番遠い星ならぬ遠いところに居た為、お二人の演奏中の写真が全く撮影できなかったのでこの演奏中の写真がなくてすみません。

アルバムの写真

新月四タイトルのアルバムの他に新宿2015年ベストと書かれた「冷凍睡眠/Cold Sleep」が置かれています。

花本さん
「北山自身は正式には元新月メンバーですが、今回の「遠き星より」制作にあたりボーカルの新録音を行ったので、サイン会と演奏を一緒にやります。
新月とは別に、北山と二人でやっているユニットですがかなり良い感じに進んでいます。
今までは、北花、キタモト、花北などと仮のユニット名で呼んでいましたが、今回正式にグループ名にしようという事になりました。あとで北山から発表があります(ここで拍手)。
えー今日の演奏ですが、ぶっちゃけ二曲しかありません(笑)。
一曲だけのつもりだったのですが、ディスクユニオンさんのサイトに大きく出てしまったので、たくさんの曲があるのではないかと期待された方々もいると思いますが、二曲だけです。
ディスクユニオンさんに代わって不手際を深くおわびします(笑)。(大意)」
ここで店内笑いに包まれました。

花本さん
「では、一曲目、というか二曲しかないので、前半の曲です。『島へ帰ろう』という曲です。」

水を打ったように静まり返る店内。
いよいよ新月曲の演奏が始まります。

『島へ帰ろう』。

花本さんの美しいキーボード、北山さんの変わらない歌声が店内に流れました。
あの、『島へ帰ろう』です。

北山さん
「『島へ帰ろう』、でした。アルバム「遠き星より」に入っています。
今日はこの二人で『島へ帰ろう』の演奏をサプライズで一曲だけやるつもりだったのです。
ところが、ディスクユニオンさんのサイトに生演奏あり、と堂々と出てしまったので(再び店内笑いに包まれます)一曲ではいくらなんでもまずいだろうと、花本と相談しました。
今、花本と二人でユニットで進めてますが、その中から出来たばかりでまだ完成していない曲を演奏します。
それから記者会見の発表をします(店内笑い)。
グループ名は「静かの海」です。
多少録音も進んでいます。では、CDが出たら入ると思いますが、『調べ』という曲を演ります。(大意)」

「静かの海」。やはり月にちなんだ名前ですね。

『調べ』。

大正琴のような美しいキーボードの音が店内に流れ、ちりめんの友禅和紙のような柔らかなとりどりの色彩が目の前に浮かぶ不思議なメロディと、ほとんど聞きとる事はできませんでしたが、文学的な歌詩の曲でした。
竹久夢二の絵の世界のような雰囲気を感じました。

歌詩に散りばめられた至高の言葉の数々、ここにも「遠い星」とか「波」という新月に大切な言葉が入っていたように思います。

今まで聴いた事のある北山節とも、もちろん新月とも違う、少し哀愁を帯びた、今まで新月関連では全く聴いた事のないような曲でした。

花本さん
「演奏はこれで終わりです。あとは店内CDをゆっくりご覧ください。
特に「遠き星より」は自信作です。
いろいろな音が入っていますので、何度も聞くたびに新しい発見があると思います。なにか質問はありますでしょうか?(大意)」

ここでファンの方から「次のライブはいつですか?」という質問がありました。

花本さん
「ぎくっ。まず新月プロジェクトですが、7月2日土曜日の夜に、吉祥寺シルバーエレファントでワンマンライブを行います。
「静かの海」はCDが今年中に発売出来れば、来年の始めにはライブが出来ると思います。」

花本さん
「では、終わってしまいますが(笑)
ありがとうございました!店内をゆっくり見ていって下さい。」

ここで帰られるファンの方々、余韻の残る店内になんとなく立ち去り難く残っているファンの方々、別のアイテムに新たにサインを頂くファンの方々、来店したものの演奏に間に合わず、がっかりしているファンの方々など、様々でした。

花北の写真

サインを求めるファンも一旦途切れ、店内には「遠き星より」の曲が流れています。
と、店内奥から、お二人をふと見やると、なんと店内に流れる曲に合わせて音を切ったマイクで北山さんが歌っているではありませんか。
お二人に近づいてみると、花本さんは音を切ったキーボードを店内の曲に合わせてずっと練習されていました。

花北の写真

それから暫くすると、突然音が入り『せめて今宵は』のイントロが始まりました。
そしてなんと北山さんがマイクを握ります。えっ。

花北の写真

店内に残っていた新月ファン、最初の二曲に間に合わなかった新月ファン、皆さん急いでお二人の前に集まりました。

花北の写真
北山さんがつながってる?と言いつつマイクを握ります!まさか、まさか!

『せめて今宵は』です。

店内に拍手が響きます。
予想だにしていなかった『せめて今宵は』の演奏が始まったのです。

花北の写真

「いくとし♪」

夢のようなひと時です。最初の演奏に間に合わなかったファンの方たちも本当に喜んでいらっしゃいました。

花北の写真

「いくつき♪まったことだろうか♪」

花本さんが「全曲目解説」で「シンプルで美しいメロディーをもった曲を作りたいと、意識しながら作った曲です。」と言われた『せめて今宵は』。
福生のハウスの中で深夜、小さなアップライトピアノを前にちょっとずつ丁寧に作っていきました。」 
と書いている『せめて今宵は』。

花北の写真

「このつかのまのやみを♪」

作曲は花本さん、詩は、当初花本さんが書いた「今宵かぎりで 消えた街路燈 せめて今宵は 星を降らせて」を残し、それ以外を全て北山さんが書き換えて完成した、この美しい曲の演奏に、しばらく息を止めて聴き入っていたように思います。

花北の写真

「そしてわすれていたゆめをよぶ♪」


花本さんの「すみません、忘れていました、すみませんー」の言葉と笑顔と共に、このまま曲は終わりました。
でもファンは大満足です。

ファーストアルバム「新月/新●月」のラストの曲であり、ライブでもラストを飾る『せめて今宵は』。

まさかサイン会で、『せめて今宵は』と『島へ帰ろう』、この同時期に作られた二つの曲を両方聴く事が出来るとは夢にも思いませんでした。

幸せな空気が店内にあふれます。

花北の写真

これで演奏は終了かと思われたのですが・・・今度はなんと『殺意への船出PART1』の練習が始まりました。
花本さんは「最後の光が」の部分にかなり苦戦されていました。
花本さんのたどたどしいキーボードを目の当たりにするという実に珍しい貴重な体験です。
苦笑しながら花本さんの練習を見守る北山さん。

花北の写真

花本さんは「忘れちゃった」「どうするんだっけ?」を連呼しつつ、「練習して取り戻します」、ときっぱり宣言。
『殺意への船出PART1』も追加演奏される事が決定しました!

花北の写真

「よる、うみ、ほしぞらをこえて♪」

『殺意への船出PART1』の演奏が始まりました。
イントロを弾き北山さんに「はい」と合図をする花本さん。

花北サイン会

「なみ いわ ガラスのこぶねで♪」

花本さんの素晴らしいキーボードは、先ほどまで苦戦されていたとは到底思えません。

花北の写真

「さいごの ひかりが また きえていく♪」。

北山さんの歌声からは、あの静かな波音が聞こえてくるようです。

花北の写真

「さびついた ナイフを♪」

花本さんの指先から描かれる静かに静かに虚空へといざなう静寂の音が見せる何か、北山さんの渾身の思いを籠めながらも、抑えに抑えた歌声からほとばしる何か、は、まるでコンサートホールに居るのかと錯覚しそうになるほどの演奏です。

花北の写真

「静寂」の音が流れます。

そして、花本さんのピアノが、ひそやかに、ひそやかに、あの吸い込まれそうな静寂を奏で、演奏は終わりました。

素晴らしい、素晴らしい演奏でした。

演奏後、花本さんから
「先ほどとは違う曲の演奏でしたので、もう帰られた方たちに申し訳ないので、二度目の演奏があったことはくれぐれもご内密にお願いします。(大意)」
と真顔で皆さんにお願いがありました。

皆さんにこやかに静かに力強く頷き、店内は、新月と秘密を共有しちゃったちょっぴり嬉しいほのぼのとした一体感、に包まれました。

が、しかし、ここに思わぬ伏兵が潜んで居たことを、この時点では誰も知る由もありませんでした。

ポスターの写真

店内に飾られていた今回のポスターです。

北山さん
「79年当時この撮影があった時、素顔で普通に写るのもあまり面白くないと思い、あのマントを羽織り、適当にメイクをしたのですが、まさかこの先何十年も経って、こんなに大々的に残るものになるとは思いませんでした。」
「この同じ写真を使った2006年復活コンサートのポスターとちらしは月の下が惑星の赤い砂漠のデザインで、あれは大変かっこよかったです。」
とポスターを前にお話されました。

17時少し前に二度目の演奏が終わった後も、サイン会へ参加のファンの方たちが来店していました。

17時過ぎには、ファーストアルバム「新月」のレコーディングディレクター森村寛さんが来店され、芝ABCホールのライブ音源や、ロックウェルスタジオ、スタジオJの録音や機材等について三人で熱く語り合っていました(専門的過ぎて単語ひとつ理解できず、レポート不能です。すみません)。

新月ファンとの触れ合いと生演奏のイベントは、終了した後も暖かい余韻に包まれ、明るく楽しい気持ちでお店を出る事が出来ました。

またこの日、新月アルバムは、ディスクユニオン新宿プログレッシヴ館の月間売り上げがクリムゾンを抜いて1位となったそうです。

花本さん、北山さん、ディスクユニオン新宿プログレッシヴ館の皆さま、本当にお疲れさまでした。

スピーカーの写真

さて、帰宅途中の電車の中からとりあえず、新月掲示板に第二部の演奏があったことはないしょにして、この日の流れを書いたわけですが「ひみつ」はなんと北山さんご自身の手であっさりと披露されてしまったのでした。

でも確かに、ひみつにするには惜しいこの演奏をずっと語り継ぐには 手段を問わない かもしれません。

生演奏は『島へ帰ろう』、『調べ』(キタモト改め「静かの海」新曲)、『せめて今宵は』、『殺意への船出PART1』の四曲がファンの前で演奏されました。

メンバー二人だけの演奏でしたが、新●月、ゆるぎない圧倒的な素晴さでした。




(註)四タイトルの新月名義のアルバムについて。

ボックスセット「新●月●全●史」の中の二枚のアルバムが単体、1979年のライブ盤、ファーストアルバム「新月」リマスター盤の四タイトルです。

1.「新●月●全●史」DISC2「遠き星より」は、新録音と選曲を変えての発売です。

2.「新●月●全●史」DISC3「OutTakes 1979-1980/Shingetsu」は、新月のアルバムに収録されていない曲集です。

2005年にリリースされた新月集大成のボックスセット「新●月●全●史」(The Whole Story of Shingetsu 1976-1982)は、わずか千セットの限定発売であり、早々に売切れになってしまった為、このボックスに収録されているアルバムはごく限られたファンしか聴く事が出来ませんでした。
今回、なるべく多くの人たちに新月を聴いてもらえるようにとの事から、ボックスの中から二枚が選ばれ単体で発売となりました。

3.新月コンサートのライブ盤です。
1979年7月25日にリリースされたファーストアルバム「新月」の発売記念コンサートが同日25日と26日に開催されました。
その26日の演奏の全てを収録した二枚組アルバムが「完●全●再●現 新●月Complete Edition / 1979 Shingetsu Live」です。

4.ファーストアルバム「新月」は過去にもリマスタリング盤が発売されていますが、今回は1979年のオリジナル二つ折りインサートが封入されています。

1.の「遠き星より/新●月 From a Distant Star/Shingetsu」には、1979年に実際に演奏されていた曲のみが収録されています。
2005年録音のドラムとベースはそのままに、キーボード、ギターのオーバーダブを加え、歌も新たに録り直した2015年バージョンと、「新●月●全●史」に収録されている『不意の旅立ち』のみ1979年版を収録したアルバムです。

「遠き星より」は、ファーストアルバム「新月」に続き発売されるはずだった幻のセカンドアルバムにあたります。

当時のライブでは「新月」収録曲に加え、セカンドアルバム収録予定であった大曲『殺意への船出PART2』『赤い目の鏡』『不意の旅立ち』の他『島へ帰ろう』などの曲が共に繰り返し演奏されていました。
『鬼』と対極に位置する『殺意への船出PART2』は、1976年HALとSerenadeが合体して、バンド新●月を誕生させるきっかけとなったもう一つの代表曲です。

新月セカンドアルバム「遠き星より」はその『殺意への船出PART2』を一曲目に据えて、ラストに『島へ帰ろう』を収録しています。

ファーストアルバム「新月」には『鬼』(earth)、セカンドアルバム「遠き星より」には『殺意への船出PART2』(universe)と37年の年月を経て、79年当時完全には実現しなかった新月アルバムのコンセプトがここで完成しました。

2.の「The Best of Album Outtakes 1976 −1981」は、「新●月●全●史」に収められていない、代表曲のリハーサル曲、ホームデモ曲、第三期新月の曲、スタジオセッション、などの未発表曲に加え、2004年にCD再発された北山真SNOWレーベルの文学バンド「文学ノススメ」収録の『我が解体』の一部が収録されています。

ファーストアルバム「新月」は北山さんによって夢-夜-朝-昼-夜-夢とひとめぐりするように曲順が整えられました。
「The Best of Album Outtakes 1976 -1981」は花本さんによって『竹光る』から始まり『鼓星』に終わるという「全ては、竹から生まれて星に戻っていくまでの輪廻とカルマというわけです。(新月公式サイトより転載)」と整えられています。

ちなみに一曲目の『竹光る』は、当時セカンドアルバムが出ていたら、そのアルバムのタイトルでもありました。
この曲の別バージョンは四セット同時購入特典のCD「Out Of Outtakes 1979- 1981」に収録されています。

3.の79年7月25日と26日のデビューコンサート芝ABCホールのライブを収録したアルバムは過去二回発売されています。
1994年発売の「赤い目の鏡(廃盤)」と2004年に発売された「新●月:Shingetsu Live 25.26 july 1979. ABC Kaikan Hall Tokyo」です。

「赤い目の鏡」は元々オーディエンス録音の為あまり音質は良くありませんが、その分臨場感があります。
ライブそのままの曲順でそのまま収録されているため時間の関係で『せめて今宵は』がカットされています。

ちなみに『せめて今宵は』だけが1995年発売のアルバム「セレナーデ〜新月(スペシャルコレクション)科学の夜(廃盤)」に収録されています。

「新●月:Shingetsu Live 25.26 july 1979. ABC Kaikan Hall Tokyo」は、曲順が変更されて『不意の旅立ち』がカットされています。

このアルバムは前回の「赤い目の鏡」の音源とは異なり、当時のレコーディングディレクター森村寛さんが所有していた、マイク録りの1/4オープンデッキで収録したものをコピーしたカセットテープが2004年に発見されたものです。

「ノイズ除去を行うと音楽的成分も一緒に取り除かれるというジレンマの中(新月ファンサイト〜新●月「新月ニュース」より転載)」完了したマスタリングのおかげで、音質は「赤い目の鏡」に比べて格段に良くなっています。

今回のライブアルムは、7月26日に行われたコンサートを、すべてMCも入れて二枚組にしてこの日のライブのまま完全に再現したアルバムです。
新月というバンド名についての解説もMCで語られています。

4.のファーストアルバム「新月」は1979年発売のLP盤から始まり、再発盤LP、CD共に7回8枚発売されており(「新●月●全●史」収録盤含む)今回が8回目の発売となります。

オリジナル版を復元した二つ折インサートは、当時フールズメイト編集長だった北村昌士さんの文章に代わり花本さんご自身の2007年、2010年版のライナーが掲載されています。

「光のノイズ」です。




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